洋上風力発電
洋上風力発電事業への取り組み
洋上風力発電事業は、発電に不可欠な設備の設置場所を選定することからはじめます。
候補海域の気象・海象の調査だけでなく、発電設備に必要な海底地盤調査や環境影響評価(環境アセスメント)に必要な調査なども実施されます。
当社ではこれまで数多くの海洋調査、海洋底探査の経験がございます。実際の各調査だけでなく、海域利用者との合意形成を目指した調査手法に関するコンサルティングや効果的かつ緻密な調査サービス、さらに品質管理されたデータの提供が可能です。
ソリューションの特長
洋上風力発電事業における各種調査を行います。
最新技術による
風況調査
洋上風力発電には平均風速、風速頻度分布・風向出現率、乱流強度などの風況情報が欠かせません。
従来、風況情報を得る手段は洋上に着床式の風況観測マストを設置し、直接風を観測する方法でした。
しかし最近では、欧州をはじめとして、係留ブイにドップラーライダーを搭載して風を計測する技術(フローティングライダー)が主流の方法となっています。
当社は欧州でも信頼性の高い、カナダAXYS社製FLiDARを用いた国内における風況観測・調査業務を行い質の高いデータを提供いたします。
係留ブイを用いた
海象モニタリング
洋上風力発電設備を設置する海域の波浪や流速等の海象や環境状態を計測・調査するためには、流速計等のセンサーを設置する必要があります。
流速計等のセンサーは海底に設置する、もしくは海上の係留ブイに取り付けて計測を行います。
当社では沿岸、遠洋にかかわらず係留ブイを活用し、水温、流速、風速、風向、波高等の海象・気象データやハイドロフォンを用いた生物・人為活動による水中音などの幅広いデータを取得しています。
係留ブイの設置や回収だけでなく、長期間における海象データの取得や、取得した情報に基づいたコンサルティングにおいても多くの実績があります。
適切な
底質試料の採取
洋上風力発電設備を設置する海域の底質調査(海底地盤調査、海底地形、海底下構造、海底堆積物採取等)は必要不可欠です。
海底地盤の状態を把握することで、洋上風力発電設備に与える様々なリスクを回避することができるからです。
海底地盤調査では洋上ボーリングを使って海底から採取した掘削試料を、船上で適切かつ迅速に処理・保管し、陸上の研究所で行われる各種物性試験に最適な状態で試料を提供いたします。
また、ご要望に応じて、採取した試料の写真撮影などの記録をとりまとめて提出いたします。
提供できる成果物
風況データ
調査海域における風況データ(風速・平均風速・風速頻度分布・風向出現率・乱流強度等の実測値)は、フローティングライダーに取り付けたドップラーライダーによって取得いたします。 取得したデータは適切に解析したのち、風力発電に必要な風量や適切な設備の検討、年間発電量の予測に使用いただけます。
海象データ
各種センサーを搭載する係留ブイにより、当該海域における海象データを取得いたします。海象データは風向、風速、波高、潮位、波向だけでなく、水温、塩分、クロロフィル量等幅広く取得することが可能です。
係留ブイを用いた観測では、洋上風力発電における事前調査だけでなく、厳しい自然環境下での長期にわたる気象・海象データを取得する海洋環境モニタリングを行うことが可能です。
また通信環境を搭載させることで、取得したデータを海域利用者に向けたリアルタイム配信も可能です。
流向・流速データ
流向・流速とは海流または、潮流の流れの方向と速度を指します。流向・流速観測では、海面付近から任意の深さまでのデータ(流向、流速)を取得いたします。 超音波ドップラー流向流速計を係留ブイに搭載もしくは海底に設置することで、一定期間海流・潮流の傾向を把握します。洋上風力発電設備の設置場所検討において、流向・流速データは風速や風向と共に重要なデータとなります。
保守管理サービス
設置した係留ブイが適切に観測を継続できるよう定期的な保守管理を行います。予測できない荒天等による不具合発生時にも速やかに対応して即時復旧を目指します。
洋上風力発電調査 海象モニタリング
洋上の観測ステーション 係留ブイ
係留ブイは調査海域で長期間の観測に耐えうる洋上の観測ステーションと言えます。係留ブイに様々な計測器やセンサーを設置することで、多角的な情報の取得が可能となるため、「その場」の観測データを洋上風力発電の海域選定や設備の検討に活かすことができます。
当社では調査目的に応じた係留ブイの設計や使用するセンサーの選定、機材準備から実海域での設置・設置中の保守管理・回収、観測データの取得ならびに品質管理したデータの提出までトータルでサポートしております。
洋上風力発電設備設置予定海域で風況観測を行う場合、特に夏から秋にかけての台風による強風や波浪に耐えられることが重要になります。当社は台風の通過などの荒天時を想定した係留系の設計を実施し、過酷な環境にも耐える係留系を設置した実績を有しております。
洋上風力発電調査 底質調査
海底地盤調査・底質試料採取
洋上風力発電設備には、風車をはじめとした設備を海底に固定する着床式と、海上に浮かべて係留する浮体式があります。海底に固定する着床式の場合、洋上風力発電装備の設計を検討する上で、海底地盤調査や底質試料採取は必須項目の一つに挙げられます。
海底地盤調査や底質試料採取は、船舶などに設置・装備した洋上ボーリングによって行われます。洋上ボーリングは海底の起伏の影響を受けにくく、安定した底質試料の採取が可能なため、海底地盤調査に適しています。
洋上ボーリングで得られたコア試料を、目的に応じて適切に処理し、最適な状態を維持させた試料を提供いたします。またこれらの試料に対する物性計測や生物地球化学分析の受託分析も承っております。
洋上風力発電調査 環境モニタリング
環境モニタリング 候補海域の”今“を調査する
環境モニタリングとは沿岸から遠洋まで、海域を問わず海洋の環境を調査することを指します。海洋の調査には、衛星や航空機による広域計測、係留ブイによる定点長期間計測等があります。
洋上風力発電の事業開始前に行う環境調査だけでなく、施工前後の環境調査、ならびに事業開始後の継続した環境調査をする必要がございます。当社はこれまでの海洋調査の技術や実績をフル活用して、お客様のご要望に応じたモニタリングデータを提供いたします。
洋上風力発電に関わる海洋調査のコンサルティング
当社は長年にわたり、船舶を用いた国内外の様々な海洋調査および海洋底探査について、技術を培ってきました。その実績に基づき、洋上風力発電事業の推進に必要な気象・海象の調査や環境調査に関するあらゆるご要望にお応えいたします。
また、漁業関係者等を含む様々なステークホルダー様とのコミュニケーションを重視し、事前調査のみならず、発電事業開始後までを考慮した長期的な視野での合意形成を目指します。
着床式、浮体式にかかわらず洋上風力発電の設備設置の事前調査、設置後の環境モニタリング等、ぜひご相談ください。
あてはまる業種
- 発電事業者
- 官公庁・自治体
- 土木・建設
- 漁業