「海を知る」「地球を知る」ブログ

海と地球の科学技術コンサルタント

2023.06.14

地球の裏側!?南パタゴニア氷原グレイ氷河でのマルチビーム音響測深調査

 2023年3月に国立大学法人北海道大学低温科学研究所の杉山先生からご用命いただき、当社職員が同行してチリ国の南パタゴニア氷原グレイ氷河にあるグレイ湖を訪れました。新型コロナ感染症の影響で途絶えていたグレイ氷河の観測を再開するとともに、新たにマルチビーム音響測深装置(以下、MBESと記載)を使用した湖底の地形調査と氷河末端の氷河壁面の形状を捉えるという淡水域では前例のない調査の実施が目的でした。当社は2021年度に導入したMBESを現地に持ち込み、グレイ湖での調査を担当しました。

グレイ湖へ向かう途中のパタゴニアの風景

 当社にとって初めての海外でのMBES調査でしたので、出発前の機材準備や機材の輸送については、現地調査のシミュレーションや輸送機材量の削減など、入念な準備を行いました。飛行機による機材輸送では、日本で使用している機材をすべて持っていけませんので、チリに到着した後、町のホームセンターや商店で、調査に必要な、例えば船に装置を固定するための資材等を購入し、船への取り付けを想定した組立テストを入念に行いました。

購入資材を使った装置組立テストの様子

 資機材の準備とテストの後は、町からグレイ湖への移動です。調査の拠点となるグレイ湖畔の宿泊地には車道が通じていないため、まずグレイ湖まで車両で向かい、そこからモーターボートと観光船を乗り継ぎ、最後は徒歩で移動しました。

移動で使用した車両と荷台に積まれた資機材

 グレイ湖での滞在は2週間でしたが、強い風と雨の日が多く、晴れた日は1日だけでした。また、MBES調査でボートを出すことができたのも4日程度でした。その間、杉山先生らの氷河上の調査への同行や得られた地形調査のデータ整理、機器整備を行いました。

グレイ湖に流れ込むグレイ氷河の様子

MBESを搭載したボート

グレイ湖でのMBES調査の様子

調査に参加した研究者とボートのクルーとで記念撮影

氷河調査のため氷河上を徒歩で移動している様子

 好天が少ない中での調査でしたが、計画していた範囲のMBES調査を実施することができ、貴重なデータセットを得ることができました。杉山先生らも水中の氷河壁面の様子を捉えることができたことに喜ばれており、当社も安堵しております。
 今回の調査では、杉山先生、波多先生には、貴重な海外調査の機会を下さり、また、現地では調査の実施に際して多くの御協力を頂き感謝いたします。また、調査実施にあたりMBESシステムの代理店など関係会社の皆様にも多くのご助言をいただきました。
 当社では国内外を問わず、MBES調査のご相談を承ります。湖底や海底の地形のみならず、湧水ポイントの位置、遺物の検知、構造物の形状調査にもご使用いただけます。ご参考までに以下の資料をご覧いただけますと幸いです。

学術・研究分野でのMBES調査のご提案

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